2017年1月13日金曜日

新・相生橋 OBだより108号(2017年1月1日号)掲載

 あけましておめでとうございます。会員各位には、御清祥にて家族と共に新年をお迎えのことと、お喜び申し上げます。大晦日も一夜明ければ正月である。去年ともなく、今年ともなく、憂きことも災いも、去年になりゆく今年の正月である▼このコラムを読んでおられる方は、昭和時代の正月風情を思い出される方もあるでしょう。鎮守の森を清め、注連飾りを準備したり、道祖神や六地蔵を清掃したりされ、町内会や部落会の人と正月前の行事をされた方もあるでしょう。そんな正月前の部落のつき合いは、つい先年の頃の風景であった。しかし、今は近所の人と参加することがなくなったと聞く▼齢を重ねると月日が早く過ぎ去るようだと、多くの方から聞く。今日から明日へと時針は変わらず刻々と進んでいるのにどうしてそう感じるのか。この疑問に答えたのは、ストレス学説を説いた、ハンズ・セリエ(1982・カナダ医学者)である。その学説の結語は「精神のよりどころにある」と述べ、例えば、一日中朝から夕方まで忙しく動いたり、書物に心注したりした時は、時針が早く進むと感じ、目的もなくダラダラと無為の時を過ごすと時針は遅く感じる、と説いている▼このコラムの書是は、健康であった。健康生命は、地球より重い、との格言のとおり、すべてに先んじらねばならない。「一年の計は元旦にあり」との格言があるが、各位にとって今年の「計」は健康寿命を設定されたらどうでしょう。健康寿命は、今の自分の体と精神が共に健全な状態であって、症状がない状態であるが、もしも健康でなかった原因は、過去の積年のツケが身体に影響を及ぼしたためである▼なぜか年と共に肉体の諸器官が衰えてくるからだ。健康寿命のためには、その三原則「栄養・休養・運動」を日常生活に組み込むことが必須である。哲人レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452~1519)は「十分に人生の終わりのことを考えよ。まず最初に終わりを考え生きてゆけ」と「人生ノート」の中で述べている。また日本でも、吉田兼好(1283~1352)は「徒然草」で「健康は、始めと終わりこそをかしけれ(よろずのこと始めと終わりこそ大切であり、味わい深いものだ)」と述べている▼イタリアの哲学者と鎌倉時代の宗教家が、健康について同じ意義を唱えていたことは、今日に至っても決して色あせないことを認識するものである▼平成も29年目に入った、今日の世相は混沌としているが、今年が各位にとって、そして、家族にとって良い年となることを祈念します。

(H28・11月記 コラムVol.13編 日本コラムニスト倶楽部会員 R・T)